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文法第一:基本文型

超速理解漢文法:文法第一 基本文型

 みなさん、こんにちは。造言です。

 

 今回は、漢文の基本中の基本となる文型を学びます。

基本文型の概略

 漢文にも様々な文型がありますが、実は突き詰めていくと一つの文型に過ぎません。当サイトではこれを「基本文型」と命名します。

 

漢文の基本文型とはすなわち、以下のようなものです。

 

漢文の文型:主語-述語。

訓読:主語は述語。

 

 

およそ漢文の文は、すべて突き詰めれば上のような構造となっています。副詞や前置詞といった成分は、基本文型に挿入された微要素に過ぎません。

 

なので漢文を文法的に把握したければ、まずは基本文型を理解し、次に残りの微要素が挿入される位置を把握すればよいのです。

 

当サイトとしても、本課において基本文型をマスターし、そののちに微要素たる副詞・前置詞句などの挿入位置の勉強をし、以て効率的な漢文習得を促進していく所存です。

 

基本文型の詳細

漢文の基本文型は「主語-述語」ですが、さすがにこれではおおざっぱに過ぎてなにがなんだか分からないでしょう。

 

 そこで、ここからは基本文型の詳細を見て行くこととします。

 

 基本文型は、細かく見て行くと更に四つの文型に分かれます。四つの文型とは、すなわち以下のようなものです。

 

・基本文型:主語-述語。

@第一文型:主語-名詞-() 述語=名詞の文型。

A第二文型:主語-動詞。 述語=動詞の文型。

B第三文型:主語-動詞-目的語。 述語=動詞-目的語の文型。

C第四文型:主語-動詞-目的語-目的語。 述語=動詞-目的語-目的語の文型。

 

 

 @はいわゆる名詞述語文、Aは自動詞や形容詞を述語とした文、Bは他動詞及びその目的語一つを述語とした文、Cは他動詞及びその目的語二つを述語とした文です。

 

 実際の漢文には、前置詞や副詞など様々な言葉が付け加わりますが、それらは所詮、基本文型、すなわちこれら四つの文型の応用でしかありません。

 

 漢文を文法的に把握したいなら、とりあえずこの四つの型を覚えてください。以下、それぞれの文型について詳しく見て行きます。

 

第一文型

第一文型:主語-名詞-()

訓読:主語は名詞なり。

訳:主語は名詞である。

 

 第一文型は、いわゆる「名詞述語文」です。名詞が述語となった文ですね。まぁ、英語を習った人は、英語のbe動詞を使った文だと考えてください。主語=名詞という文です。

 

練習問題1:次の第一文型の漢文を、訓読・翻訳してみよう。
(1)我漢人也。 我…私。訓:「ワレ」 漢人…中国人。漢民族。
(2)汝倭人。 汝…お前。訓:「ナンジ」 倭人…日本人。大和民族。
(3)日本島国。
(4)中国大陸之国也。 之…〜の。訓:「の」

 

練習問題2:次の漢文訓読体を第一文型の漢文へと復文しなさい。
(1)我は倭の国王なり。 倭の国王…倭之国王
(2)倭は日本の旧名なり。 日本の旧名…日本旧名
(3)汝は我が子なり。 我が子…我子
(4)中国は大国の一つなり。 大国の一つ…大国之一

 

参考:漢文の「の」
日本語の「AのB」は、漢文では「AB」とも「AのB」とも言います。どちらが間違いということもなく、どちらが正しいということもありません。ただ、漢文では二字若しくは四字にするのが(言語のリズム的に)好まれるため、解答では「倭の国王…倭之国王」、「日本の旧名=日本旧名」などと、四字になるように「之」の有無を調整した次第です。
なお、「我がB」「汝がB」など漢文訓読体で「代名詞がB」と読み下されるものについては、「我B」「汝B」などと言います。「我之B」「汝之B」は、意味は「我B」「汝B」と変わらないのですが、「我のB」「汝のB」と訓読します。

第二文型

第二文型:主語-動詞。

訓読:主語は動詞す/動詞なり/動詞たり/動詞し。

訳:主語は動詞する/動詞である/動詞い。

 

 

 第二文型は、目的語を取らない動詞を述語とした文です。目的語を取らない動詞というのは、いわゆる「自動詞」ですね。

 

 なお、ここで言う漢文の自動詞には、日本語で言う、「明[明るい]」「暗[暗い]」などの「形容詞」や、「静[静かだ]」「頑[頑なだ]」などのような「形容動詞」をも含みます。

 

 …というか、漢文には日本語の用言のような「活用」というものがありませんので、日本語のように「動詞」「形容詞」「形容動詞」といちいち用言を小分けする必要がないのです。

 

 もっとも、漢和辞典なんかを見ると、漢文の用言を、動作を表すもの=動詞、状態などを表すもの=形容詞として、小分けしているものも多いようですけどね。

 

 当サイトではより簡単に文法を理解できるよう、形容詞も形容動詞も動詞の一部として、一々小分けすることはしないようにしています。

 

練習問題3:次の第二文型の漢文を、訓読・翻訳してみよう。
(1)女泣。
(2)男戦。
(3)空暗。 暗…訓:「クラ-シ」
(4)山静。 静…訓:「シズ-カナリ」

 

練習問題4:次の漢文訓読体を第二文型の漢文へと復文しなさい。
(1)我は行く。
(2)山大なり。
(3)夜星煌々たり。
(4)月は尊[たふと]し。

第三文型

第三文型:主語-動詞-目的語。

訓読:主語は目的語を動詞す。主語は目的語に動詞す。

訳:主語は目的語を動詞する。主語は目的語に動詞する。

 

 

 第三文型は、目的語を取る動詞を述語とした文型のことです。目的語を取る動詞とは、いわゆる「他動詞」というやつですね。

 

 そして目的語というのは、動詞が表す動作の対象となるもののことです。「人に与える」なら「人に」の「人」が目的語となりますし、「水を与える」なら「水を」の「水」が目的語となります。

 

 このように、漢文の目的語は、日本語における「に」「を」の直前におかれた言葉となるのです。日本語文法的には、「に」の直前の言葉は何故か「補語」などと言われますが、漢文や英語ではそれも「目的語」ですので、日本語文法に惑わされないよう注意してください。

 

 なお、厄介なことに、漢文を日本語文法の枠組みで説明しようとした学校教育などの場における日本伝統の漢文法解釈では、やはり「に」の直前の言葉を「補語」と言うことがあります。

 

当サイトの文法用語と学校教育の文法用語は異なる所がありますので、ごっちゃにしないよう、注意してください。当サイトで勉強するときは、あくまで当サイトにおける文法用語に沿って理解するよう努めていただければと思います。

 

練習問題5:次の第三文型の漢文を、訓読・翻訳してみよう。
(1)我憎祖国。 我…私。訓:「ワレ」
(2)男赴戦場。 赴…赴[おもむ]く
(3)王授爵位。 授…授[さずけ]ける。
(4)父告其子。 其…自分の。訓:「ソ-ノ」

 

練習問題6:次の漢文訓読体を第三文型の漢文へと復文しなさい。
(1)我 妻子を愛す。
(2)王 国を治む。
(3)群臣 讒を告ぐ。 讒…讒言。告げ口。
(4)大国 小国を侵す。

第四文型

第四文型:主語-動詞-目的語-目的語。

訓読:主語は目的語に目的語を動詞す。

訳:主語は目的語に目的語を動詞する。

 

 

 第四文型は、目的語を二つ取る動詞を述語とした文のことです。目的語を二つ取る動詞とは、いわゆる「授与動詞」ってやつですね。

 

 「〜に〜をあげる」「〜に〜を教える」「〜に〜を伝える」など、誰かになにか[もの・情報等抽象具体を問わない]を与える動作を表すものが「授与動詞」になりえるものです。

 

 …「なりえる」と言ったのは、漢文においては、動詞の使われ方が必ずしも一定ではないからです。「与[与える]」という単語にしても、「与AB」という使い方もあれば「与A」で終わる場合もあります。つまり、二つ目の目的語を取らないこともざらにあるのです。

 

その場合は、普通の他動詞として使われた、と解釈することができますね。だから、あくまでも授与動詞と「なりうる」動詞という表現にとどめておくわけです。必ず二つの他動詞を取るわけではないからそう呼ぶのでした。はい。

 

 なお、漢文では「動詞AB」の時、AとBのどちらが「に」で、どちらが「を」なのかは一定ではありません。文脈によって「AにBを動詞する」とも「BにAを動詞する」ともなりえます。その辺は臨機応変に、文脈で判断してください。

 

 でもそうですね。これだけだと作文の際困りますので、一応普通の漢文の傾向を踏まえた指針は示しておきましょう。

 

作文の際は、「動詞AB」の時、「A」には文字数が少ない方を据え、「B」には文字数が多い方を据えるようにしてください。AとBが同じ文字数の場合は、Aには人を、Bには物を据えてください。

 

 こうすれば、漢文としては相当程度自然な文となるはずですから。…なんてね。あくまで私が漢文を読んでいって身に着けた漢文のセンスで物を言っているに過ぎませんので、正確な情報ではないんですけどね、これは。まぁ他に参考にできるものがない人は、これを参考に漢作文に励んでいただければと思います。

 

練習問題7:次の第四文型の漢文を、訓読・翻訳してみよう。
(1)王授臣爵位。 臣…家臣。
(2)父教仁道其子女。 仁道…仁の道。 其…自分の。 子女…子供。
(3)仏説不殺民衆。 説…説得する。 不殺…生き物を殺さないこと。
(4)神与我七難八苦。 七難八苦…さまざまな困難。

 

練習問題8:次の漢文訓読体を第四文型の漢文へと復文しなさい。
(1)母 子に乳を授く。
(2)王 臣に爵位を与ふ。
(3)父 仁の道を其の子女に示す。
(4)神 人に智を授く。

 

終わりの言葉

 第1課の勉強はここまでです。それではみなさん、ごきげんよう。

 

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