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第十八回漢文翻訳練習:漢文の数量補語

第十八回:漢文における「数量補語」

 お久しぶりです造言主です。

 

 今日は第十八回目の漢文翻訳練習ですね。

 

 最近は仕事上のストレスで鬱鬱としていて、なかなか作業に取り掛かれなかったのですが、そろそろ前回の記事から一週間近く経ちましたからね。

 

 記事更新していきたいと思います。

数量補語って?

 数量補語とは、現代中国語の文法で使われる言葉の一つです。

 

 例えば、現代中国語の「我住在日本三年了」(私は日本に住んで三年になります)のような文が数量補語の典型ですね。

 

 述語「住在日本」の後ろに数量「三年」が来て、具体的にどれくらい「住在日本」したのかを補足説明している構造ですね。

 

 このような構文は古典中国語たる漢文においても存在します。

 

 構文は現代中国語と同じで、「主語+述語+数量補語」の語順となりますよ。

 

 数量補語は、「数字+名詞」によって作られます。「〜年」「〜里」「〜銭」などがよく使われる言葉になりますね。

漢文の数量補語の具体例

 さて、それでは早速漢文における数量補語の例を出していきます。

 

例:

(1)我生此世三年矣。
訳:私がこの世に生きて三年となった。

 

(2)経十余年、終不復見。
訳:十年余り経て、結局二度と会わなかった。

 

(3)我東征国六十六国
訳:私は東の方で国を六十六国征服した。

 

(4)行数十里、道逢美女。
訳:数十里行くと、道ばたで美女に逢った。

 

(5)王賜臣銭数十万
訳:王は臣下に銭を数十万与えた。

語釈:@〜矣。→〜(となっ)(てしまっ)た。完了の語気。 A数量+余年→数年余り。 B終…最後まで。とうとう。 C不復…二度と…ない。 D東…東の方へ。東の方で。副詞。「ひがし-のかた」と訓読。 E賜…(上のものが下のものに)与える。

 

 

 数量補語でよく使われるのは、@「経+時間」、A「行+距離」ですね。

 

 @は、日本語では「三年を経て」「十年を経て」などと、「〜を経て」と訳しますが、漢文訓読においては、「経ること三年」「経ること十年」のように書き下します。

 

 同様にAも、現代日本語でこそ「数里(を)行き」「千里(を)行くと」のように訳しますが、漢文訓読体では「行くこと数里、」「行くこと千里」となります。

 

 要は、数量補語は訓読では「〜すること…」のようになるんですね。例文を例にしていえば、「我 此の世に生くること三年なり。」「我 東のかた国を征すること六十六国。」「王 臣に銭を賜ること数十万。」のようになります。

 

よく使われる数量補語の構文

 現代中国語では、「〜してすでに…[時間]になる」などと言いたい時、「述語+(了)+已経+〜[数量]+了」という構文を用います。

 

 例えば、「他去中国已経十年」(彼が中国に行ってもう十年になる)のような構文ですね。

 

 これとちょうど対応するような構文として、漢文では「述語+已+〜[数量]+矣」というものがあります。
例:

我不夢彼一月
訳:私が彼を夢にみなくなってもう一月になる。

 

男造仏像三年
訳:男が仏像を造ってからもう三年となった。

 

日本不景気十年
訳:日本が不景気となってもう十年となってしまった。

「述語+(已)+久+(矣)」の構文

 因みに漢文では、数量の部分に「久」という時間を表す形容詞が入ることも多々あります。「久」は「久しい。」「随分時間が経つ」ということですね。

 

(1)我不夢彼
訳:私が彼を夢にみなくなってもう長い。

 

(2)男造仏像
訳:男が仏像を造ってからもう随分になった。

 

(3)日本不景気
訳:日本が不景気となってもう久しくなってしまった。

 

(4)我喪子
訳:私が子を喪ってから已に久しい。

 

(5)国亡
訳:国が亡んで随分になった。

 

 「已」は「すでに」という副詞です。これがあると「すでに」「もう」という表現で已然を明示できます。

 

 「矣」は「〜た」という意味の完了の語気助詞。これがあると「(もう)〜た」という、もうそうなっているという完了の語気を表現できます。

練習問題

 さて、最後に練習問題です。

 

 最近は問題のレベルが地味に上がって来ているため、漢文の翻訳も大変でしょうが、言葉の習得は常にインプットとアウトプットの繰り返しが大事です。

 

 頭で理解したものを、しっかり自分で再現できるように翻訳練習を続けていってくださいね。

 

練習問題1:次の漢文を日本語に翻訳してみよう。

(1)臣請王助命三回、終不之聴。
(2)軍北進十五里、未逢其敵。
(3)我不見子已久矣。
(4)経三日、未帰。
(5)我娘不笑四年矣。

語釈:@終…最後まで。とうとう。 A聴…聞き入れる。 B北…北のかた。北の方へ。副詞。

 

練習問題2:次の日本語を漢文に翻訳してみよう。

(1)私は数回これを叱った。
(2)三里行くと、古びた城が見えた。
(3)女が歌わなくなってすでに久しい。
(4)五日経ったが、彼は尚[なお]も此処で待っている。
(5)私が日本に来てからもう十年余りとなった。

語釈:@〜が見える…見〜。 A此処で…於此。 B〜年余り…〜余年。

 今回の勉強はここまで。

 

 それではみなさん、ごきげんよう。

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