文法第十五練習解答
みなさん、こんにちは。
今回は、前回出した問題の解答を示したいと思います。
確認
まずは問題確認。
問題は以下の通りです。
練習問題1:次の主題構文の漢文を、訓読・翻訳してみよう。
(1) 国王之計臣民亦不之詳解。 臣民…要するに国民のこと。
(2) 如斯之人我未之嘗見。 如斯之人…斯[か]くの如きの人。このような人。
(3) 百姓之憂王須知之。 百姓…民のこと。
(4) 傾国之女賢者悪之。 傾国之~…傾国の~。傾国とは、国を傾ける、つまり、国を存亡の危機に立たせたりすることを言う。特に、女性を形容して言う場合は、国主を惑わして結果的に国が危険な状態になってしまうほどの魅力を持つ女性を指すことになる。 悪…悪[にく]む。嫌悪する。
練習問題2:次の書き下し文を、主題構文の漢文へと復元してみよう。
(1) 国王の命[みこと]は臣民皆之に従ふ。 命…命令。
(2) 斯くの如きの人は俗 之を暗愚と謂ふ。 俗…世間。
(3) 賢人の憂ひは常人之を解すること能はざるなり。 常人…普通の人。
(4) 妻子は汝未だ之有らざるか。
説明:「汝…有らざるか」。漢文では、「名詞-有-…」は普通「名詞に…有り。」と読みますが、「人物-有…」の場合は、「人物…有り。」とも読みます。つまり、「に」の有無は決まっていません。「に」を付けるかどうかは訓読を施す人の言語感覚に依存するのです。なのでこの文も、「妻子は汝に…か。」とも読むことができます。悪しからず。
練習問題3:次の主題構文の漢文を、訓読・翻訳してみよう。
(1) 吠犬其性頗怯。 頗…頗[すこぶ]る。 怯…怯[ケフ]なり。臆病である。
(2) 東夷之兵我恐其頗勇敢不避死也。
(3) 倭国学者亦不知其大王何自出者也。 何自出者…何れより出でし者なるか。どこから出てきた者なのか。
(4) 邪馬台国今之倭人尚不知其安在也。 安在…安くに在りしかを。どこにあったかを。
練習問題4:次の書き下し文を、主題構文の漢文へと復元してみよう。
(1) 行ひ暴なる者は其の心常に人を疑ふなり。 暴…乱暴である。
(2) 東夷は我 其の兵の頗る勇敢なるを恐る。
(3) 倭国の大王は民も亦た其の何れより来たりしかを知らざるなり。
(4) 中華は万国の民並びに其の古代の文化を称賛す。
練習1・2の解答
では解答です。
練習問題1:次の主題構文の漢文を、訓読・翻訳してみよう。
(1) 国王之計臣民亦不之詳解。 臣民…要するに国民のこと。
→解答
訓読:国王の計は臣民も亦た之を詳らかには解せず。
翻訳:国王の計略は国民も詳しくは理解していない。
(2) 如斯之人我未之嘗見。 如斯之人…斯[か]くの如きの人。このような人。
→解答
訓読:斯くの如きの人 我未だ之を嘗て見ず。
翻訳:このような人は、私は未だ嘗て見たことがない。
解説:「見ず」は「見[まみ]えず」と読んで「会ったことがない」としても可。
(3) 百姓之憂王須知之。 百姓…民のこと。
→解答
訓読:百姓の憂ひは王須らく之を知るべし。
翻訳:民の心配事は、王は知る必要がある。
(4) 傾国之女賢者悪之。
→解答
訓読:傾国の女は、賢者 之を悪む。
翻訳;傾国の女は、賢者は嫌悪する。
練習問題2:次の書き下し文を、主題構文の漢文へと復元してみよう。
(1) 国王の命[みこと]は臣民皆之に従ふ。 命…命令。
→解答:国王之命臣民皆従之。
(2) 斯くの如きの人は俗 之を暗愚と謂ふ。 俗…世間。
→解答:如斯之人俗謂之暗愚。
(3) 賢人の憂ひは常人之を解すること能はざるなり。 常人…普通の人。
→解答:賢人之憂常人不之能解也。
解説:「不之能解」の部分は否定倒置である。本来「不能解之」だったのが倒置でこうなった。
(4) 妻子は汝未だ之有らざるか。
→解答:妻子汝未之有乎。
練習3・4の答え合わせ
練習3・4の解答です。
練習問題3:次の主題構文の漢文を、訓読・翻訳してみよう。
(1) 吠犬其性頗怯。 頗…頗[すこぶ]る。 怯…怯[ケフ]なり。臆病である。
→解答
訓読:吠ゆる犬は其の性頗る怯なり。
翻訳:吠える犬はその性格はとても臆病である。
(2) 東夷之兵我恐其頗勇敢不避死也。
→解答
訓読:東夷の兵は我其の頗る勇敢にして死を避けざるを恐るるなり。
翻訳:東夷の兵士については、私は彼らがとても勇敢で死を避けないのを恐れているのである。
(3) 倭国学者亦不知其大王何自出者也。 何自出者…何れより出でし者なるか。どこから出てきた者なのか。
→解答
訓読:倭国は学者も亦た其の大王の何れより出でし者なるかを知らざるなり。
翻訳:倭国については、学者もまた、その大王がどこから出てきた者なのかを知らないのだ。
(4) 邪馬台国今之倭人尚不知其安在也。 安在…安くに在りしかを。どこにあったかを。
→解答
訓読:邪馬台国は、今の倭人すら尚ほ其の安くに在りしかを知らざるなり。
翻訳:邪馬台国については、今の倭人ですらなおそれがどこにあったのかを知らないのである。
練習問題4:次の書き下し文を、主題構文の漢文へと復元してみよう。
(1) 行ひ暴なる者は其の心常に人を疑ふなり。 暴…乱暴である。
→解答:行暴者其心常疑人也。
(2) 東夷は我 其の兵の頗る勇敢なるを恐る。
→解答:東夷我恐其兵頗勇敢。
(3) 倭国の大王は民も亦た其の何れより来たりしかを知らざるなり。
→解答:倭国大王民亦不知其何自来也。
(4) 中華は万国の民並びに其の古代の文化を称賛す。
→解答:中華万国之民並称賛其古代文化。
終わりに
以上で今回の勉強はおしまいです。
ではまたこんど。再見。
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