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句法第一練習解答

句法第一練習解答

 みなさんこんばんは。

 

 今回は、前回の練習問題の答え合わせのみとなります。

問題確認

 まずは問題確認から。

 

 前回出した問題は以下の通りでした。

 

練習問題1:次の漢文を書き下し、日本語に翻訳してみよう。また、次の漢文のうち、述語や文が名詞句になった部分を抜き出してみよう。

(1)我嘗見大国敗而為小国。
(2)王唯恐為人所殺耳。
(3)以害人為快楽俗謂之悪。
(4)王暴而虐民謂之暴君。
(5)能為之而不為是怠惰也。

 

練習問題2:次の書き下し文を漢文に復元してみよう。

(1)汝 我が国の嘗て大いに栄ふるを知るか?
(2)人の過つを見て之を嘲るは、丈夫の行ひに非ず。
(3)徳を知りて之を為さざるは、何ぞや?
(4)能く之を為すに為さざるは、俗 之を怠惰と謂ふ。
(5)我唯だ人に疑はれんことを恐れしのみ。

 

練習問題3:次の漢文を書き下し、日本語に翻訳してみよう。また、次の漢文のうち、述語や文が名詞句になった部分を抜き出してみよう。

(1)我嘗見大国之敗而為小国。
(2)王唯恐己之為人所殺耳。
(3)人之以害人為快楽俗謂之悪。
(4)王之暴而虐民謂之暴君。
(5)人之能為之而不為是怠惰也。

 

練習問題4:次の書き下し文を漢文に復元してみよう。但し、文が名詞句化した部分については、主語の直後に「之」の字を挿入すること。

(1)汝 我が国の嘗て大いに栄ふるを知るか?
(2)人の過つを見て之を嘲るは、丈夫の行ひに非ず。
(3)世の人の徳を知りて之を為さざるは、何ぞや?
(4)人の能く之を為すに為さざるは、俗 之を怠惰と謂ふ。
(5)我唯だ己の人に疑はれんことを恐れしのみ。

 

練習問題5:次の漢文を書き下し、日本語に翻訳してみよう。また、次の漢文のうち、述語や文が名詞句になった部分を抜き出してみよう。

(1)我嘗見其敗而為小国。
(2)王唯恐其為人所殺耳。
(3)其以害人為快楽俗謂之悪。
(4)其暴而虐民謂之暴君。
(5)其能為之而不為是怠惰也。

 

練習問題6:次の書き下し文を漢文に復元してみよう。但し、文が名詞句化した部分については、主語の部分を「其」の字に置き換えること(むろん、それによって文意は変わりますが、あくまで構造理解のための練習ですので問題ありません)。

(1)汝 我が国の嘗て大いに栄ふるを知るか?
(2)人の過つを見て之を嘲るは、丈夫の行ひに非ず。
(3)世の人の徳を知りて之を為さざるは、何ぞや?
(4)人の能く之を為すに為さざるは、俗 之を怠惰と謂ふ。
(5)我唯だ己の人に疑はれんことを恐れしのみ。

 

練習問題7:次の漢文を、書き下し、日本語に翻訳してみよう。

(1)王治国者也。
(2)我嘗見殺人者。
(3)以武制国者謂之覇王。
(4)在倭国者曰倭人。(主曰A 主語はAと曰[い]ふ。)

 

練習問題8:次の書き下し文を、漢文に復元してみよう。

(1)我 人の不幸を嘲る者を憎む。
(2)己の正しきを妄りに信じて疑はざる者は、諭すべからず。
(3)中国に在る者は、中国人なり。
(4)彼の王は将に我が国を滅ぼさんとする者なり。

 

練習問題9:次の漢文を書き下し、翻訳してみよう。

(1)我所願者天下太平。 天下太平…天下が太平(=平和)であること。
(2)国王賢愚人常所憂。 賢愚…賢いか愚かか。
(3)汝之所欲之者何也? 何也…何[なん]ぞや。なんだ?なにか?
(4)我欲知汝之所願耳。 耳…ここでは、断定「のだ」の意味。読みは「のみ」。

 

練習問題10:次の書き下し文を、漢文に直してみよう。

(1)王の願ふ所の者は、国の安寧なり。 「国の安寧」→「国之安寧」
(2)倭国は是れ倭人の住む所なり。 「Aは是れBなり。」→「A是B」
(3)愚王の治むる所の者は、恐らくは皆将に亡ばんとせん。
(4)朕は唯だ民の恨む所を知らんと欲するのみ。

 

練習問題11:次の漢文を書き下し、翻訳してみよう。

(1)所願者天下太平。 天下太平…天下が太平(=平和)であること。
(2)国王賢愚常所憂也。 賢愚…賢いか愚かか。
(3)所欲之者何也? 何也…何[なん]ぞや。なんだ?なにか?
(4)欲知所願耳。 耳…ここでは、断定「のだ」の意味。読みは「のみ」。

 

練習問題12:次の書き下し文を、漢文に直してみよう。

(1)願ふ所の者は、国の安寧なり。 「国の安寧」→「国之安寧」
(2)村落は是れ集ひて住む所なり。 「集ひて住む」→「集而住」
(3)治むる所の者は、恐らくは皆将に亡ばんとせん。
(4)朕は唯だ恨む所を知らんと欲するのみ。

 

練習問題13:次の漢文を書き下し、日本語に翻訳してみよう。

(1)倭人皆不知其所自来者也。
(2)汝之所以悪其王何也? 所以…ここでは、理由を表す。何也?…何ぞや?
(3)所以放矢謂之弓。 放矢…矢を放つ。
(4)我無所於帰者故放浪焉。 故…故に。だから。 焉…断定「のだ」の意味。

 

練習問題14:次の書き下し文を、漢文に復元してみよう。

(1)生まるる所の者は之を故郷と謂ふ。
(2)汝に問ふ、「妄りに之を信ずる所以は、何ぞや?」と。
(3)金印は、古の大王の以て臣と為す所なり。
(4)倭人の言語は、其のよりて出づる所 未だ明らかならず。

練習問題の解答

 では解答です。

 

練習問題1:次の漢文を書き下し、日本語に翻訳してみよう。また、次の漢文のうち、述語や文が名詞句になった部分を抜き出してみよう。

(1)我嘗見大国敗而為小国。
解答:
訓読:我嘗て大国の敗れて小国と為るを見る。
翻訳:私はかつて大国が敗北して小国になったのを見た。
抜き出し:大国敗而為小国

 

(2)王唯恐為人所殺耳。
解答
訓読:王は唯だ人の殺す所と為るを恐るるのみ。
翻訳:王はただ人に殺されるのを恐れているのです。
抜き出し:為人所殺

 

(3)以害人為快楽俗謂之悪。
解答
訓読:人を害するを以て快楽と為すは、俗 之を悪と謂ふ。
翻訳:人を害するのを快楽とみなすのは、世間はこれを悪という。
抜き出し:以害人為快楽

 

(4)王暴而虐民謂之暴君。
解答
訓読:王暴にして民を虐ぐ、之を暴君と謂ふ。
別解:王の暴にして民を虐ぐるは之を暴君と謂ふ。
翻訳:王が凶暴で民を虐げる、これを暴君という。
別解:王が凶暴で民を虐げるのはこれを暴君という。
抜き出し:王暴而虐民

 

(5)能為之而不為是怠惰也。
解答
訓読:能く之を為すに為さざるは、是怠惰なり。
翻訳:できるのにしないのは、これは怠惰である。
抜き出し:能為之而不為

解説:是[これ]=能為之而不為。是で言い直した物と考えればいい。

 

練習問題2:次の書き下し文を漢文に復元してみよう。

(1)汝 我が国の嘗て大いに栄ふるを知るか?
汝知我国嘗大栄乎?

 

(2)人の過つを見て之を嘲るは、丈夫の行ひに非ず。
見人過而嘲之非丈夫之行。

 

(3)徳を知りて之を為さざるは、何ぞや?
知徳而不之為何也?
解説:「不之為」は否定倒置。文法第十を思い出そう。

 

(4)能く之を為すに為さざるは、俗 之を怠惰と謂ふ。
能為之而不為俗謂之怠惰。

 

(5)我唯だ人に疑はれんことを恐れしのみ。
我唯恐疑於人耳。

 

練習問題3:次の漢文を書き下し、日本語に翻訳してみよう。また、次の漢文のうち、述語や文が名詞句になった部分を抜き出してみよう。

(1)我嘗見大国之敗而為小国。
解答
訓読:我嘗て大国の敗れて小国と為るを見る。
翻訳:私はかつて大国が敗北して小国になったのを見た。
抜き出し:大国之敗而為小国

 

(2)王唯恐己之為人所殺耳。
解答
訓読:王は唯だ己の人の殺す所と為るを恐るるのみ。
翻訳:王はただ自分が人に殺されるのを恐れているのです。
抜き出し:己之為人所殺

 

(3)人之以害人為快楽俗謂之悪。
解答
訓読:人の人を害するを以て快楽と為すは、俗 之を悪と謂ふ。
翻訳:人が人を害するのを快楽とみなすのは、世間はこれを悪という。
抜き出し:人之以害人為快楽

 

(4)王之暴而虐民謂之暴君。
解答
訓読:王の暴にして民を虐ぐるは、之を暴君と謂ふ。
別解:王が凶暴で民を虐げるのはこれを暴君という。
抜き出し:王之暴而虐民

 

(5)人之能為之而不為是怠惰也。
解答
訓読:人の能く之を為すに為さざるは、是怠惰なり。
翻訳:人ができるのにしないのは、これは怠惰である。
抜き出し:人之能為之而不為

 

練習問題4:次の書き下し文を漢文に復元してみよう。但し、文が名詞句化した部分については、主語の直後に「之」の字を挿入すること。

(1)汝 我が国の嘗て大いに栄ふるを知るか?
汝知我国之嘗大栄乎?

 

(2)人の過つを見て之を嘲るは、丈夫の行ひに非ず。
見人之過而嘲之非丈夫之行。
説明:この文は、文が名詞句化した部分と述語が名詞句化した部分とがある。前者に当たるのが「人の過つ[=人が失敗すること]」であり、後者が「人の過つを見て之を嘲る[=人が失敗するのを見てこれを嘲笑すること]」である。

 

(3)世の人の徳を知りて之を為さざるは、何ぞや?
世人之知徳而不為何也?
説明:「~、何也?」とは、この場合は、「~のは、どうしてか」の意味。

 

(4)人の能く之を為すに為さざるは、俗 之を怠惰と謂ふ。
人之能為之而不為俗謂之怠惰。

 

(5)我唯だ己の人に疑はれんことを恐れしのみ。
我唯恐己之疑於人耳。

 

練習問題5:次の漢文を書き下し、日本語に翻訳してみよう。また、次の漢文のうち、述語や文が名詞句になった部分を抜き出してみよう。

(1)我嘗見其敗而為小国。
解答
訓読:我嘗て其の敗れて小国と為るを見る。
翻訳:私はかつてそれが敗北して小国になったのを見た。
抜き出し:其敗而為小国

解説:「其」は、本来なら前の文脈から容易に察することができるものを指す。今回は文脈もなにもないのでとりあえず「それ」と訳した。

 

(2)王唯恐其為人所殺耳。
解答
訓読:王は唯だ其の人の殺す所と為るを恐るるのみ。
翻訳:王はただ自分が人に殺されるのを恐れているのです。
抜き出し:其為人所殺

解説:「其」は前の文脈にある語を指す言葉。日本語と違い、「わたし」とか「自分」なども指すことがある点には注意しよう。

 

(3)其以害人為快楽俗謂之悪。
解答
訓読:其の人を害するを以て快楽と為すは、俗 之を悪と謂ふ。
翻訳:それが人を害するのを快楽とみなすのは、世間はこれを悪という。
抜き出し:其以害人為快楽

 

(4)其暴而虐民謂之暴君。
解答
訓読:其の暴にして民を虐ぐるは、之を暴君と謂ふ。
別解:それが凶暴で民を虐げるのはこれを暴君という。
抜き出し:其暴而虐民

 

(5)其能為之而不為是怠惰也。
解答
訓読:其の能く之を為すに為さざるは、是怠惰なり。
翻訳:それができるのにしないのは、これは怠惰である。
抜き出し:其能為之而不為

 

練習問題6:次の書き下し文を漢文に復元してみよう。但し、文が名詞句化した部分については、主語の部分を「其」の字に置き換えること(むろん、それによって文意は変わりますが、あくまで構造理解のための練習ですので問題ありません)。

(1)汝 我が国の嘗て大いに栄ふるを知るか?
解答:汝知其嘗大栄乎?

 

(2)人の過つを見て之を嘲るは、丈夫の行ひに非ず。
解答:見其過而嘲之非丈夫之行。

 

(3)世の人の徳を知りて之を為さざるは、何ぞや?
解答:其知徳而不之為何也?

 

(4)人の能く之を為すに為さざるは、俗 之を怠惰と謂ふ。
解答:其能為之而不為俗謂之怠惰。

 

(5)我唯だ己の人に疑はれんことを恐れしのみ。
解答:我唯恐其疑於人耳。

 

練習問題7:次の漢文を、書き下し、日本語に翻訳してみよう。

(1)王治国者也。
解答:
訓読:王は国を治むる者なり。
翻訳:王とは国を治める者である。

 

(2)我嘗見殺人者。
解答
訓読:我嘗て人を殺す者を見る。
翻訳:私は以前人を殺す者を見た。

 

(3)以武制国者謂之覇王。
解答
訓読:武を以て国を制する者は之を覇王と謂ふ。
翻訳:武力でもって国を統制する者は、これを覇王という。

解説:「之」とは「以武制国者」のこと。文法第十五で習った主題倒置の構造。

 

(4)在(於)倭国者曰倭人。(主曰A 主語はAと曰[い]ふ。)
解答
訓読:倭国に在る者は倭人と曰ふ。
翻訳:倭国にいる者は倭人という。

 

練習問題8:次の書き下し文を、漢文に復元してみよう。

(1)我 人の不幸を嘲る者を憎む。
解答:我憎嘲人(之)不幸者。

 

(2)己の正しきを妄りに信じて疑はざる者は、諭すべからず。
解答:妄信己(之)正而不疑者不可諭。
訂正:この文、訓読が間違ってました。「己の正しきを妄りに信じて」の部分、正しくは、「妄りに己の正しきを信じて」または「己の正しきを妄信して」でした。申し訳ない

 

(3)中国に在る者は、中国人なり。
解答:在(於)中国者中国人(也)。

 

(4)彼の王は将に我が国を滅ぼさんとする者なり。
解答:彼王将滅我国者(也)。

 

練習問題9:次の漢文を書き下し、翻訳してみよう。

(1)我所願者天下太平。 天下太平…天下が太平(=平和)であること。
解答
訓読:我の願ふ所の者は天下太平なり。
翻訳:私が願うことは天下が平和であることです。

 

(2)国王賢愚人常所憂。 賢愚…賢いか愚かか。
解答
訓読:国王の賢愚は人の常に憂ふる所なり。
翻訳:国王が賢いか愚かかは、人がいつも心配していることである。

解説:「人常所憂」は「人所常憂」の意。西田太一郎氏の『漢文法要説』によりますと、「名詞-所-他動詞」の文型に副詞を入れるときは、名詞の直後に入れる場合もあれば、他動詞の直前に入れることもあるらしいですよ。まぁそのうち気が向いたら私の方でもどんな用例あるか調べてみます。

 

(3)汝之所欲之者何也? 何也…何[なん]ぞや。なんだ?なにか?
解答
訓読:汝の欲する所の者は何ぞや?
翻訳:お前の欲しいものはなんだ?

 

(4)我欲知汝之所願耳。 耳…ここでは、断定「のだ」の意味。読みは「のみ」。
解答
訓読:我 汝の願ふ所を知らんと欲するのみ。
翻訳:私はお前が願うことを知りたいのだ。

 

練習問題10:次の書き下し文を、漢文に直してみよう。

(1)王の願ふ所の者は、国の安寧なり。 「国の安寧」→「国之安寧」
解答
訓読:王(之)願所(之)者国之安寧。

補足:なお、中国語的には、2文字、4文字くらいでまとめるのが好まれるので、「之」の二つは付けない方が自然。

 

(2)倭国は是れ倭人の住む所なり。 「Aは是れBなり。」→「A是B」
解答
訓読:倭国是倭人(之)所住。

補足:4字にまとめて「倭人所住」の方が自然ではある。

 

(3)愚王の治むる所の者は、恐らくは皆将に亡ばんとせん。
解答
訓読:愚王(之)所治(之)者恐皆将亡。

 

(4)朕は唯だ民の恨む所を知らんと欲するのみ。
解答
訓読:朕唯欲知民(之)所恨耳。

補足:4字にまとめるのが好ましい。なのでこの場合は「之」を付けた方が漢文ぽくなる。

 

練習問題11:次の漢文を書き下し、翻訳してみよう。

(1)所願者天下太平。 天下太平…天下が太平(=平和)であること。
解答
訓読:願ふ所の者は天下太平なり。
翻訳:願うことは天下が太平であることである。

補足:なお、本当はこの問題、「所願之者天下太平」とした方が漢文としては好ましいかと。

 

(2)国王賢愚常所憂也。 賢愚…賢いか愚かか。
解答
訓読:国王の賢愚は常に憂ふる所なり。
翻訳:国王が賢いか愚かかは、常に心配することである。

 

(3)所欲之者何也? 何也…何[なん]ぞや。なんだ?なにか?
解答
訓読:欲する所の者は何ぞや。
翻訳:欲しいものはなんだ?

 

(4)欲知所願耳。 耳…ここでは、断定「のだ」の意味。読みは「のみ」。
解答
訓読:願ふ所を知らんと欲するのみ。
翻訳:願うことを知りたいのだ。

 

練習問題12:次の書き下し文を、漢文に直してみよう。

(1)願ふ所の者は、国の安寧なり。 「国の安寧」→「国之安寧」
解答:所願(之)者国之安寧。
補足:この場合は「之」があった方が4字でまとまって漢文らしくなる。

 

(2)村落は是れ集ひて住む所なり。 「集ひて住む」→「集而住」
解答:村落是所集而住。

 

(3)治むる所の者は、恐らくは皆将に亡ばんとせん。
解答:所治(之)者恐皆将亡。
補足:4文字が好まれるので「之」の字があった方が漢文としては自然になる。

 

(4)朕は唯だ恨む所を知らんと欲するのみ。
解答:朕唯欲知所恨耳。

 

練習問題13:次の漢文を書き下し、日本語に翻訳してみよう。

(1)倭人皆不知其所自来者也。
解答
訓読:倭人皆其のよりて来たる所の者を知らざるなり。
翻訳:倭人はみな、自分が来た場所(=自分がどこから来たか)を知らないのだ。

説明:「自分」は「其」の訳語。「自」は、前回説明した通り、日本語には訳せない。古文的に訳すなら「自分がそこから来た場所」という感じになるのだが…。関係詞は現代の日本語では綺麗に消滅してるから辛い…。

 

(2)汝之所以悪其王何也? 所以…ここでは、理由を表す。何也?…何ぞや?
解答
訓読:汝の其の王を悪[にく]む所以[ゆゑん]は何ぞや?
翻訳:お前がその王を嫌悪する理由は何だ?

 

(3)所以放矢謂之弓。 放矢…矢を放つ。
解答
訓読:以て矢を放つ所は之を弓と謂ふ。
翻訳:矢を放つものはこれを弓という。

説明:この「所以」の「以」は、理由ではなく手段なので、「ゆゑん」ではなく「以て…所」と訓読するのが望ましい。

 

(4)我無所於帰者故放浪焉。 故…故に。だから。 焉…断定「のだ」の意味。
解答
訓読:我に帰る所無し、故に放浪す。
翻訳:私には帰る所が無い、だから放浪するのだ。

 

練習問題14:次の書き下し文を、漢文に復元してみよう。

(1)生まるる所の者は之を故郷と謂ふ。
解答:所於生(之)者謂之故郷。
説明:「よりて生まるる所の者」だったら「所自生(之)者」となるが、今回は訓読で「よりて」がないので、訓読に反映されない「所於生」の方だと分かる。なお、四文字の方が好まれるにつき、「之」は付けない方がよい。

 

(2)汝に問ふ、「妄りに之を信ずる所以は、何ぞや?」と。
解答:問汝所以妄信之何也?
補足:なお、この文の書き下しは、文法構造から「汝に妄りに之を信ずる所以の何なるかを問ふ。」でもよさそうだが、実際は「汝に問ふ、『~。』と。」とするのが普通である。

 

(3)金印は、古の大王の以て臣と為す所なり。
解答:金印古之大王(之)所以為臣。
補足:せっかく「古之大王」「所以為臣」で綺麗に4字ずつでまとまっているので、余分な「之」はつけない方が読みやすい。

 

(4)倭人の言語は、其のよりて出づる所 未だ明らかならず。
解答:倭人(之)言語其所自出未明。
説明:これは「象長い」の構文。この文の場合は、要約すると「倭人の言語出自不明である」という構造である。なお、「之」の字は例の理由によりないほうが好ましい。

終わりに

 以上で今回の勉強は終わり。

 

 ではまた。再見。

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当ブログは、大学時代に漢文読解に勤しんでいた私が、日本語を漢文に翻訳する「漢作文」を気ままにやっていくものです。漢文法・漢作文に興味のある方はどうぞご利用ください。
文法第十四練習解答
当ブログは、大学時代に漢文読解に勤しんでいた私が、日本語を漢文に翻訳する「漢作文」を気ままにやっていくものです。漢文法・漢作文に興味のある方はどうぞご利用ください。
文法第十五:主題構文
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文法第十五練習解答
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文法第十六:省略
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文法第十六練習解答
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句法第一:名詞句
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句法第二:形容詞句
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句法第二練習解答
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詞法第一:数詞
今回は、数詞について学びます。
詞法第二:疑問詞
漢文における疑問詞について説明します。
語法
今回は漢文の語法について勉強します。
超速理解漢文法 閉講
超速理解漢文法もこれにて終了。終わりの挨拶をして、幕を閉じたいと思います。

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