こんばんは。
造言主です。
今回でとりあえず漢文の基本は終わりです。答え合わせをしていきましょう。
解答は、以下の通りです。
練習問題1:次の漢文を、日本語に翻訳してみよう。
(1)汝欲何為?
→お前は何をしたいのか?
別解:お前は何をしようとしているのか?
(2)知其事而不我告、何也?
→そのことを知っていながら私に告げないとは、どういうわけなのだ?
(3)誰知我真名也?
→誰が私の真名を知っていようか、いや、誰も知らない。
(4)汝与彼、孰適於王?
→お前とあいつと、どっちが王に適しているかな?
(5)我弟今安在?
→私の弟は今どこにいるのだろう?
(6)人性天之所賦与、焉可自直之也?
→人の性[さが]は天の賦与するところだ。どうして自分でこれを直すことができようか、いや、できない。
(7)何知其事而不我告?
→どうしてそのことを知っていながら私に告げなかったのか?
(8)何人知我真名也?
→誰が私の真名を知っていようか、いや、誰も知らない。
(9)我弟今何処在?
→私の弟は今どこにいるのだろう?
(10)戦乱使祖国荒、嗚呼何時可帰国而見同朋也?
→戦乱は祖国を荒れさせた。嗚呼、いつになったら国に帰り、同朋にまみえることができるのだろうか?
(11)何故知其事而不我告?
→どうしてそのことを知っていながら私に告げなかったのか?
(12)約束未果、何顔見彼?
→約束は未だ果たしていないのに、どんな顔をして彼にまみえようか、いや、まみえることはするまい。
(13)我有恩而貶彼矣。何面目見之?
→私は恩が有りながらあいつを貶めてしまった。なんの面目があってかれにまみえようか、いや、まみえることはするまい。
(14)汝誰也?
→お前は誰だ?
(15)見苦者而不之助、何如?
→苦しむ者を見ながらこれを助けないのは、どうでしょうか?
(16)何如人可謂仁?
→どのような人が仁と謂えるでしょうか?
(17)何如則可謂仁?
→どのようであれば仁と謂うことができるでしょうか?
(18)見慕且被不侮、如何?
→慕われて且つ侮られないためには、どのようにすればよいでしょうか?
(19)嗚呼万策尽矣。如之何?
→ああ、万策尽きてしまった。どうすればよかろうか。
(20)如暴虐之君何?
→暴虐の君主をどのようにすればよいだろうか?
(21)如何有親而不愛其子者也?
→どうして親でありながら自分の子を愛さない者が有るだろうか、いや、そんなやつはいない。
(22)豈有親而不愛其子者也?
→どうして親でありながら自分の子を愛さない者が有るだろうか、いや、そんなやつはいない。
(23)自彼経幾年?
→あれから幾年経っただろう?
(24)汝知我幾何?
→お前は私をどれほど知っているのか?
語釈:①為…為[な]す。 ②A与B…AとB。 ③貶…貶[おとし]める。 ④有~者…「~する者が有る」というよくある構文である。 ⑤経…経る。自動詞。時間が経つことを言う。
解説:
疑問詞疑問文は基本的に文脈次第で反語にも捉えうるものです。
したがって(24)などは「お前は私をどれほど知っているのか、いや、なにも知らないだろう。」という風にとらえることも可能ですし、(20)を「暴虐の君主をどうしようか、いや、どうすることもできない」というように捉えることも可能です。
練習問題2:
(1)私は誰を助けるべきであろうか?
→我当誰助?
(2)親でありながら其の子を愛さないとは、どういうわけだ?
→親而不愛其子、何也?
(3)誰が私の性[さが]を知ろうか?
→誰知我性?
別解:反語ととらえたのなら、「誰知我性也?」も可。
(4)山と海と、お前はどっちに行きたい?
→山与海、汝欲孰往?
(5)お前は今どこに住んでいるのだ?
→汝今安住?
別解1:汝今悪住?
別解2:汝今焉住?
別解3:汝今何処住?
(6)本心はどうして見ることができようか?
→本心何可視也?
別解:「何」は、「如何」「安」「悪」「焉」「何故」「豈」などでも可。反語。
解説:別に「見る」でもよいが、よくよく考えれば日本語で「可視」って言うくらいだし、「視る」の方を使った方がいいのかも。
(7)お前はどうして親でありながら其の[=自分の]子を愛さないのか?
→汝何親而不愛其子?
別解:「何故」「安」「悪」「焉」でも可。
(8)私はいつになったら一人前の男になれるのだろう。
→我何時得為大丈夫?
別解:「何時」は、「何日」「何月」「何年」でも可。
(9)私は役立たずだ。どんな顔をして私を用いることを請おうか、いや、請えない。
→我無用、何顔請用我也?
別解:「何顔」は実質「何面目」とほぼ同義なので、「何面目」でもいい。
(10)これは何だ?
→此何(也)?
(11)知らないことが有っても尋ねないというのは、どうでしょうか?
→有所不知而不尋、何如?
(12)お前はどのような国に住みたいのだ?
→汝欲何如国住?
別解:別に「何如国」は「何国」でもよい。「何~」でも「どんな~」という意味にはなるから。
(13)どのようであれば賢い王と言えるのか。
→何如則可謂賢王?
(14)賢い家臣を集めて、邪な家臣を排除するには、どうすればよいか?
→集賢臣而排邪臣、如何?
(15)嗚呼、我が子をどうすればよいのか。
→嗚呼、如我子何?
(16)我が国は将に亡びようとしている。嗚呼、これをどうすればよいのか?
→我国将亡。嗚呼、如之何?
(17)暴君の治める所が、どうして長持ちすることができるだろうか、いや無理だ。
→暴君所治、何得久也?
(18)王は国を幾国征したのか?
→王征国幾国?
(19)汝に問おう、民はどれほど私を恨んでいるのか?
→問汝、民恨我幾何?
語釈:①一人前の男…大丈夫。 ②役立たずだ…無用。 ③家臣…臣 ④排除…排 ⑤将に~ようとしている…将[副詞] ⑥長持ちする…久[形容詞]。
いかがでしたか?
疑問詞疑問文は、同じようなことを言い表すのに様々な表現があるので、なかなか覚えるのは大変かもしれませんね。
ともあれ、今日までで漢文翻訳練習はおしまい。
あとはぼちぼち、やり残したものを拾ったり、漢文法を簡潔にまとめたりして補筆するつもりです。
ともあれお疲れ様でした。
それではみなさん、ごきげんよう。
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